「負け組の星」と呼ばれた高知競馬のハルウララが113連敗を記録し話題となりました。
2025年5月、佐賀競馬の「パドマーワト」がハルウララの連敗記録を114連敗で更新し、再び連敗記録に注目が集まっています。

しかし実は競走馬の連敗記録
ハルウララが最多ではなかったことをご存知でしょうか。
そこで今回は、ハルウララの記録を超える連敗記録を持つ競走馬たちのプロフィールや戦績について調査した上で
何故ハルウララだけがこんなにも話題となり愛されるのかについても考察してみようと思います。。
・パドマーワトがハルウララの記録を更新したことについて
・競走馬の連敗記録ランキング
・ハルウララが話題になった理由について
パドマーワトがハルウララの連敗記録を破り話題に
では、まずはハルウララの記録を破ったパドマーワトについて紹介致します。
佐賀競馬に所属するパドマーワト(7歳牝馬)は2020年6月にデビューしました。
2025年5月18日、最終レースに出走したパドマーワトは7着という結果に終わり、0勝114敗という戦績でハルウララの113連敗記録を21年ぶりに更新することとなりました。
パドマーワトの基本情報はこちらです。
・馬主:山本幹雄
・生産者:アサヒ牧場
・産地:新冠町
・セリ取引価格:99万円(2019年北海道オータムセール)
・獲得賞金:71万円(地方)
・通算成績:114戦0勝(0-0-1-113)
パドマーワトの戦績における最高成績は2022年9月の3着1回のみとなっています。
連敗を続けながらも、現在も現役で走り続ける姿が多くのファンの注目を集めています。
パドマーワトについて世間の反応
パドマーワトがハルウララの連敗記録を破ったことについて、SNSやネット上では様々な反応が寄せられています。
「連敗記録自体はハルウララよりも上がいたから、ハルウララが有名になったのは高知競馬の戦略もだけど、最大の理由はその名前だと思う」
「かっこいい名前の馬が負け続けるよりも、日本語でかわいらしく覚えやすい『ハルウララ』という名前が、ブームを巻き起こした大きな要因」
「何か馬主が赤字でも走らせている姿に感動している人いるけど違うよ?…4年強で114戦。毎月2レースくらいは走らせてる計算。何故か?維持費を補うために出走手当を貰うため」
SNS上ではパドマーワトの連敗についての見方が分かれている様子が見られます。
このことが話題になったことでハルウララの偉大さを振り返る意見も多く見られますが
それ以上に多くのファンからは温かい声援も見られます。
・「パドマーワトちゃん、ファイト!!(´▽`*) 今日もびゅんびゅん走って元気にゴールを!そしてあなたの頑張りとみなさんの応援が良い成績につながりますように!」
・「パドマーワトちゃん、113戦目お疲れ様でした。5月とは思えない程寒かった最終レース、いつもは観客も疎な中、沢山の人が残っていて、あちこちで「パドマーワト」の名前が聞かれました。」
・「メンバー中最高齢、しかも3歳年下の同郷のペアちゃんと同じレースに出走!いかにパドマーワトちゃんが無事に長く走り続けてくれているかが分かります。」
・「その頑張りに励まされ、勇気を貰っている人達が、応援してくれているのだと思います。次走114戦目も元気に!無事に!また現地で声援を送りますよ!」
・「なにより無事に走り切ってくださいね」
これらの意見を見ていて知ったのが実はハルウララよりも負け続けていた競走馬が実は他にもたくさんいるということでありました。
次はそのことについて紹介していきます。
ハルウララより負けた馬っているの?
ハルウララの連敗記録といえば、日本競馬史上に残る記録として多くの人に記憶されています。しかし、実は連敗記録においてハルウララはトップではありませんでした。
ではハルウララとはどんな馬だったのか、まずは基本情報を確認していきましょう。
・名前:ハルウララ(Haru Urara)
・生年月日:1996年2月27日
・調教師:宗石大(高知)
・馬主:横山貴男→安西美穂子
・生産者:信田牧場
・産地:北海道三石町歌笛(現・新ひだか町三石歌笛)
・通算成績:113戦0勝(0-5-7-101)
ハルウララは1996年2月27日、北海道三石町歌笛(現・新ひだか町三石歌笛)にある信田牧場で誕生しました。
場長の信田信義によると、幼少期から小柄で臆病な馬だったといいます。
信田はハルウララをセリ市に上場しましたが買い手がつかず、信田牧場がみずから所有する形で競走馬となりました。
高知競馬でないと勝負にならないという理由から、高知競馬場の調教師宗石大に預託したとのことです。
こうして始まったハルウララの競走馬人生は、1998年11月17日に高知競馬の第1競走でデビューするも、5頭立ての5着に敗れます。
その後も勝利を挙げることができず、最終的に2004年8月までの113戦すべてで勝利することなく引退しました。
特に有名なのは、2004年3月22日に行われた106戦目のレースです。
中央競馬のトップ騎手である武豊が騎乗して出走することとなり、大きな注目を集めました。
当日の入場者数は1万3000人、ハルウララの単勝馬券だけで1億2175万円の売り上げを記録。
レースの結果は11頭立ての10着に終わりましたが、レース後武豊は通常勝ち馬が行う「ウイニングラン」(ゴール後、馬場を1周すること)を行いました。
ではそんなハルウララよりも連敗し続けていた競走馬たちについて紹介していきます。
競走馬連敗記録一覧まとめ
実は日本競馬界には、ハルウララの113連敗を大きく上回る連敗記録を持つ馬が複数存在します。ここではそれらの馬についてまとめてみました。
こちら日本の競走馬連敗記録のトップ10記録を一覧にまとめてみました。
日本の競走馬連敗記録トップ10(2025年5月現在)
- ダンスセイバー:229連敗
- アタリ:222連敗(後半222連敗)
- コスモレグノ:199連敗(後半199連敗)
- ナミノハナ:198連敗
- ビートマグナム:193連敗(後半193連敗)
- マイネアトリーチェ:192連敗
- キーモーション:192連敗(後半192連敗)
- スピードオーバー:189連敗
- ドレスアフェアー:183連敗(中間183連敗)
- カンムリホルダー:179連敗
これらの馬の多くは、全く勝てなかった馬と、初期に数勝した後に長い連敗を記録した馬に分かれています。
・ダンスセイバー:229連敗(牝・北海道門別)
通算成績:229戦0勝3着10回(0-0-10-219)
・ナミノハナ:198連敗(牝・高知)
通算成績:198戦0勝(0-0-1-197)
・マイネアトリーチェ:192連敗(牝・笠松)
通算成績:192戦0勝(0-2-6-184)
・スピードオーバー:189連敗(牡・高知)
通算成績:189戦0勝(0-0-0-189)
・カンムリホルダー:179連敗(牝・園田)
通算成績:179戦0勝(0-0-0-179)
一方、トップ10の残りの5頭は、キャリアの初期に数勝を挙げた後、長い連敗に陥ったケースです
・アタリ:261戦3勝(初期に3勝した後に222連敗)
・コスモレグノ:214戦3勝(初期に3勝した後に199連敗)
・ビートマグナム:213戦6勝(初期に6勝した後に193連敗)
・キーモーション:224戦2勝(初期に2勝した後に192連敗)
・ドレスアフェアー:274戦6勝(中間に183連敗の時期あり)
このようにハルウララよりも連敗記録を持っている馬は実はかなり多数おります。
ここではトップ10として紹介致しましたが実に93頭もの馬がハルウララよりも連敗しております。
(ハルウララ同様未勝利だった馬はそのうち26頭)
では何故ハルウララだけがこんなにも話題となったのか考えてみたいと思います。
何故ハルウララの連敗だけが話題となっているの?
ここまで見てきたように、連敗記録では実はハルウララを上回る馬がたくさんいました。では、なぜハルウララだけがこれほど有名になったのでしょうか?
その理由としては、以下のようなポイントが考えられます。
・名前の親しみやすさ
・時代背景(不況下での「負け組の星」というキャッチフレーズの共感性)
・高知競馬場の広報戦略
・メディア露出の多さ
ハルウララが注目されたきっかけは、高知競馬場の関係者による広報戦略でした。
当時、高知競馬は88億円にもおよぶ累積赤字を抱え、存続の危機に直面していました。
「ハルウララを見出してくれたのも、橋口アナでした。内部でも『負け続ける馬を…』という葛藤はありましたが、私個人としては、何かはわからないけど『やらなければならないことなのかもしれない』という、根拠のない不思議な気持ちはありました」
と、当時の組合広報だった吉田冒史さんは語っています。
ニュースリリースを40社に出したところ、ほとんど破棄されましたが、一社だけが掲載。最初は地方版と聞いていましたが、いつの間にか全国版の記事になっていました。
新聞に掲載されるとTV番組から「ハルウララの写真が欲しい」と電話があり、全国ネットで取り上げられたことでブームが広がっていきました。
このように、ハルウララが人気を博した背景には、「名前が覚えやすかったこと」「当時の時代背景」「高知競馬の存続に多大な影響を与えたこと」などの要因がありました。
ハルウララがいなければ今の高知競馬は無いかもしれません。
負けると分かっていても人気になる。
ギャンブルの本質を超えたスターホースだったのです。
それをさらに発展させたのが高知競馬場の経営戦略でした。
ハルウララブームで得た運営資金を使ってナイター設備を新設。
そしてそのナイターで「一発逆転ファイナルレース」という興行を発案し、それが大ヒットしました。
このように、ハルウララは単に連敗を重ねた馬ではなく、その存在が一つの競馬場を救い、日本の地方競馬の歴史にも大きな影響を与えた稀有な存在だったのです。
まとめ
ここまで、パドマーワトのハルウララ連敗記録更新のニュースをきっかけに、日本競馬界の連敗記録について紹介してきました。
競走馬の連敗記録を一覧にまとめたものがこちらとなります。
- ダンスセイバー:229連敗
- アタリ:222連敗(後半222連敗)
- コスモレグノ:199連敗(後半199連敗)
- ナミノハナ:198連敗
- ビートマグナム:193連敗(後半193連敗)
- マイネアトリーチェ:192連敗
- キーモーション:192連敗(後半192連敗)
- スピードオーバー:189連敗
- ドレスアフェアー:183連敗(中間183連敗)
- カンムリホルダー:179連敗
最多連敗記録はダンスセイバーの229連敗で、ハルウララの113連敗を大きく上回っています。
しかし、連敗記録の数字だけがすべてではありません。
ハルウララの真の偉大さは、その存在が高知競馬を救い、地方競馬全体に新たな可能性を示したことにあります。
「負け組の星」と呼ばれながらも、多くの人々に希望と勇気を与え、競馬ファン以外にも広く愛された唯一無二の存在でした。
そして今も、千葉県御宿町のマーサファームで健康に過ごしているハルウララ。
2018年には木更津警察署の夏の交通安全啓発ポスターに起用され、感謝状とニンジン約600キロが贈呈されるなど、今も人々に愛され続けています。
連敗記録という観点だけでなく、一頭の馬が社会に与えた影響の大きさ。それこそがハルウララという競走馬の真の価値なのかもしれません。
ここまで読んでいただきましてありがとうございます
【この記事を書いた人】
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